
中国国家統計局が2026年9月15日に公表した8月の主要統計で、個人消費の弱さが改めて示された。社会消費品小売総額(小売売上高)は3兆9824億元で、前年同月比0.4%増にとどまった[1][2]。前月と比べると0.13%の減少だった[1]。
小売売上高、自動車を除けば2.5%増
全体の伸びを大きく押し下げたのは自動車だ。統計局の資料によると、自動車を除いた小売売上高は2.5%増で、全体の0.4%を大きく上回る[2]。一定規模以上の企業による自動車の販売額は18.5%減った[2]。1〜8月の累計でも、全体の1.1%増に対し、自動車を除くと2.7%増となっている[2]。
品目別に見ると、明暗ははっきり分かれた[2]。
- 伸びた品目:通信機器27.3%増、飲料4.9%増、穀物・食用油・食品4.0%増
- 落ち込んだ品目:自動車18.5%減、金銀・宝飾品17.5%減、建築・内装材11.8%減、家具7.9%減、石油・石油製品7.0%減
飲食業の収入は1.1%増だった[2]。住宅に関わる家具や建材の不振が続く一方、日々の食品や通信機器は堅調で、買い控えが大型の支出に集中している様子がうかがえる。
工場と輸出は好調
生産の側は対照的だ。8月の一定規模以上の工業生産(付加価値ベース)は前年同月比5.2%増で、伸び率は前月から0.7ポイント高まった。ハイテク製造業は16.7%増えた[3]。品目では、集積回路の生産量が20.6%増、新エネルギー車が21.9%増、産業用ロボットが34.6%増と大きく伸びた[3]。
輸出も勢いがある。8月の輸出額は人民元建てで2兆7274億元と18.6%増え、輸入は21.7%増だった[1]。
不動産と投資の落ち込み
1〜8月の固定資産投資は7.2%減で、このうち不動産開発投資は19.9%減った。新築の商業用建物の販売額は13.0%減少している[1]。一方、中古住宅のオンライン取引の床面積は10.6%増えた[1]。8月の都市部の調査失業率は5.3%で、前月より0.1ポイント上がった[1]。
統計局が認めた「供給は強く、需要は弱い」
統計局は8月の経済を「全体として安定」としながらも、外部環境の悪影響が強まり、国内では「供給が強く需要が弱い」不均衡がなお深刻だとの認識を示した。今後は内需の拡大に力を入れるとしている[1]。
売れない分は海外へ
生産が5%台で伸び、輸出が2割近く増えるなかで、国内の小売りは0.4%増にとどまった。作ったものが国内で売れず、海外に向かう構図が数字から読み取れる。8月の工業製品の出荷価格は前年同月比3.8%上がったが、消費者物価は0.8%の上昇にとどまっており[1]、企業がコスト上昇を家計に転嫁しにくい状況も続いている。
この構図は、中国経済だけの問題ではない。輸出への依存が強まれば、過剰生産を巡る各国との摩擦は避けにくい。住宅価格の下落で家計が財布のひもを締めるなか、社会保障の拡充などで消費の土台を厚くできるかが、中国の内需と、世界との通商関係の両方を左右する。
脚注
- 中国国家統計局 "National Economy Remained Steady with Innovation-Led and High-Quality Development in August"(2026年9月15日、英語) https://www.stats.gov.cn/english/PressRelease/202609/t20260915_1965305.html
- 中国国家統計局 "Total Retail Sales of Consumer Goods from January to August 2026"(英語) https://www.stats.gov.cn/english/PressRelease/202609/t20260916_1965341.html
- 中国国家統計局 "Industrial Production Operation in August 2026"(英語) https://www.stats.gov.cn/english/PressRelease/202609/t20260917_1965348.html

