日英がデジタル政府で協力覚書 AI活用など8分野

日英のデジタル政府担当部局が2026年10月28日、デジタル政府分野での協力覚書(MoC)に署名した。デジタル庁によると、署名したのは同庁と英国政府デジタルサービス(GDS)で、日本側は塩崎彰久デジタル副大臣、英国側は来日したルース・マッケンジー閣外大臣(デジタル・文化・メディア・スポーツ省=DCMS)が署名者となった[1]。2人は署名に合わせて会談し、AIやデジタル分野での今後の協力について意見を交わした。

日英のデジタル政府協力、覚書が定めた8分野

覚書に盛り込まれた協力分野は次の8つだ[1]。

  • ユーザー中心のデザインとデザインシステム
  • デジタル調達改革
  • デジタルスキルと能力
  • デジタルガバナンス、標準化と確実な遂行
  • オンライン決済やメッセージ基盤などの共通デジタル政府サービス
  • テクノロジーとガバメントクラウド
  • 公共部門でのAI活用
  • サイバーセキュリティ

協力は署名日から3年間続き、その後はどちらかが6か月前までに書面で更新しない意向を伝えない限り、1年ごとに自動で更新される[1]。

これまでの日英の専門家会合

デジタル庁と英国は、デジタル政府分野で専門家会合を重ねてきた。2024年7月には第2回の専門家会合を開き、その後第3回も開いている[1]。今回の覚書は、こうした実務レベルの意見交換を、分野を決めた継続的な協力の枠組みに引き上げるものだ。

英国のGDSは、政府のサイト「GOV.UK」や共通の決済基盤「GOV.UK Pay」、行政サービスに共通のログイン機能「GOV.UK One Login」などを運営している。One Loginの利用者は2300万人を超え、パスキーによるログインの導入も進めている[2]。覚書の5番目に挙がった「オンライン決済やメッセージ基盤などの共通サービス」は、まさにGDSが手がけてきた領域だ。

公共部門のAI活用とクラウドが中心に

覚書の1番目に「ユーザー中心のデザイン」、2番目に「デジタル調達改革」が挙がったことも目を引く。8分野のうち、公共部門でのAI活用とサイバーセキュリティは、各国政府が同時に取り組んでいる新しい課題だ。行政がAIを使うときの安全性の確保や、クラウドに移した政府システムの守り方は、1国だけで基準を作るより、制度の近い国と経験を持ち寄るほうが進めやすい。「テクノロジーとガバメントクラウド」も協力分野に入っており、政府システムをクラウドで運用する際の知見も交換の対象になる[1]。

覚書の成果は具体的な共同作業で測られる

今回の覚書が定めたのは協力の分野と期間で、具体的に何を一緒に進めるかは今後の実務の積み上げで決まる。3年の期間内に、デザインシステムの共有や調達ルールの比較など、目に見える共同作業がどれだけ出てくるかが評価の目安になるだろう。

脚注

  1. デジタル庁「英国とデジタル政府分野における協力覚書を取り交わしました(2026年10月28日)」(2026年10月29日) https://www.digital.go.jp/press/605c1671-b6ad-4f31-94b7-b586675d65a4
  2. GOV.UK "Government Digital Service" https://www.gov.uk/government/organisations/government-digital-service
おすすめの記事