
総務省消防庁は2026年10月28日、5月から9月までに熱中症で救急搬送された人が全国で7万7638人だったと公表した[1]。2008年に調査を始めてから5番目に多いが、過去最多だった前年同期の10万510人と比べると2万2872人少ない。人数が減った一方で、入院が必要な中等症以上の割合は前年より高くなった。
熱中症の救急搬送、5〜9月の確定値
消防庁がまとめた確定値の主な内訳は次のとおり[1]。
- 搬送人員:7万7638人(前年同期10万510人)
- 年齢別:65歳以上4万6345人(59.7%)、18〜64歳2万4509人(31.6%)、7〜17歳6380人(8.2%)、乳幼児399人(0.5%)
- 初診時の程度:軽症4万6346人(59.7%)、中等症2万8775人(37.1%)、重症2055人(2.6%)、死亡120人(0.2%)
- 発生場所:住居3万718人(39.6%)、道路1万6080人(20.7%)、競技場や駅のホームなど不特定の人が出入りする屋外8529人(11.0%)、工事現場や工場などの仕事場7565人(9.7%)
月別では、5月が4176人で同月として過去2番目、7月が4万1174人で過去3番目に多かった。6月は4064人、8月は2万4956人、9月は3268人だった。
減ったのは6月と晩夏の搬送
前年と比べると、減り方には偏りがある。前年は6月だけで1万7229人が運ばれたが、今年は4分の1以下にとどまった。8月は約6600人、9月は約6500人それぞれ少なく、3か月の減少分は合わせて2万6000人あまりになる。
これに対し、5月(前年2614人)と7月(同3万9375人)は前年を上回った。真夏の盛りの搬送は前年並み以上で、梅雨明け前後と残暑の時期の搬送が少なかったことが、全体の数字を押し下げた形だ。
重い症例と高齢者の割合が高まる
人数の減少に比べ、重い症例は減っていない。死亡は120人で前年(117人)を上回り、重症は2055人だった。中等症と重症を合わせた入院が必要な人は全体の39.7%で、前年の36.4%(3万6616人)から3ポイントあまり上がった[1]。
年齢別に見ると、65歳以上の割合は2022年の54.5%から年々高まり、今年は59.7%に達した。消防庁が示す過去5年の数字のうち最も高い。発生場所でも住居が約4割を占めて最も多く、前年(38.1%)より割合が上がった。
屋外での活動を控えた人が多かった年でも、自宅で過ごす高齢者は暑さを避けにくい。暑さを感じにくくなったり、冷房の使用をためらったりして、気づいたときには重症化しているという構図が数字に表れている。
来夏に向けて問われる見守りの手当て
搬送の総数が前年を2割下回ったことは、天候のめぐり合わせによる部分が大きいとみられる。7月の搬送が前年を超えたことを考えると、暑さそのものが和らいだとは言いにくい。
一方で、重い症例の割合と高齢者の割合はそろって上がっている。救急の負担を左右するのは人数だけでなく、入院を要する患者の数でもある。一人暮らしの高齢者への声かけや、自宅でのエアコン使用を促す取り組みを夏前から進められるかが、来年の数字を分けることになりそうだ。
脚注
- 総務省消防庁「令和8年(5月〜9月)の熱中症による救急搬送状況」(2026年10月28日) https://www.soumu.go.jp/main_content/001098034.pdf

