
自営業やフリーランスなど、国民年金の第1号被保険者が子育てをしている間の保険料を免除する制度が、10月1日に始まる[2]。子が1歳になるまでの期間、父母の両方の保険料が免除され、所得の要件もない。免除された期間は保険料を納めたものとして扱われ、将来の年金額は減らない[1]。
国民年金の育児免除、対象と期間
対象は、20歳以上60歳未満の自営業者や農業者、学生、無職の人など、国民年金の第1号被保険者だ。1歳未満の子と同じ住所に住む実父母や養父母が対象となる。特別養子縁組を前提に監護している子や、養子縁組里親として預かっている子を養育する場合も対象になる[1][2]。厚生年金に入る会社員や公務員(第2号被保険者)と、その扶養に入る配偶者(第3号被保険者)は、この免除の対象にならない[2]。
免除される期間は、親によって異なる[2]。
- 実母:出産前後の「産前産後免除」の期間に続く9カ月間
- 実父・養父母:子を育て始めた月から、1歳の誕生日の前月まで(最大12カ月間)
夫婦がともに第1号被保険者であれば、両方が免除を受けられる[1]。制度が始まる前から子を育てていて、10月1日時点で子が1歳未満の場合も対象になり、10月分以降の保険料が免除される[1]。
負担はどれだけ軽くなるか
2026年度の国民年金保険料は月1万7920円だ[4]。父親などが12カ月間の免除を受けると、21万5040円分の負担がなくなる計算になる。
手続きには届け出が必要で、住んでいる市区町村の国民年金の窓口に出すか、郵送、またはマイナポータルから電子申請できる。産前産後免除とあわせて申請することもできる[1]。
制度の根拠は、2024年に成立した子ども・子育て支援法などの改正法で、財源には医療保険料とあわせて集める「子ども・子育て支援金」を充てる[2]。
会社員との差を縮める一歩
会社員や公務員には以前から、育児休業を取っている間の社会保険料を免除する制度がある[2]。一方、自営業やフリーランスには、出産前後の4カ月分の保険料を免除する産前産後免除があるだけだった。今回の制度で、働き方の違いによる子育て期の支援の差は一定程度縮まる。
フリーランスは、出産や育児で仕事を減らすと収入が直接落ち込む。そのうえ保険料の負担が続けば、未納につながりやすい。免除期間を「納付済み」として扱う今回の仕組みは、目の前の負担を軽くするだけでなく、将来受け取る年金を守る意味でも大きい。
課題は周知である。免除は自動では適用されず、本人が届け出る必要がある。出生届などの手続きの際に自治体が案内するなど、対象となる親に確実に届く工夫が欠かせない。年金制度では、会社員の配偶者を対象とする第3号被保険者制度の見直しも、厚生労働省の検討会で議論が始まっており[3]、働き方の多様化に合わせた制度づくりが続いている。
脚注
- 日本年金機構「国民年金保険料の育児免除制度」 https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/ikujimenjo.html
- 厚生労働省「育児期間の国民年金保険料免除制度」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000143356_00038.html
- 厚生労働省「第1回『国民年金第3号被保険者制度等に関する検討会』資料」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75888.html
- 日本年金機構「国民年金保険料」 https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/hokenryo.html

