
リログループは2026年10月20日、シンガポールのATIV Medical Pte. Ltd.の株式を取得し、子会社化すると発表した[1]。議決権の90%を16億2000万円で取得する。ATIV Medicalは東南アジア各国で日本人の駐在員や旅行者に医療サービスを提供しており、リログループは主力の海外赴任支援事業と組み合わせる[1]。
リログループによるATIV Medical取得の概要
- 対象:ATIV Medical Pte. Ltd.(シンガポール、2022年4月設立)[1]
- 取得する割合:議決権の90.0%(2億4291万株)。法人株主2社と個人株主3人から買い取る[1]
- 取得価額:株式が16億2000万円。助言費用などの概算6000万円を含めると約16億8000万円[1]
- 日程:10月20日に取得を決め、同日に契約を結んだ。株式の譲渡は10月30日の予定[1]
- 業績への影響:精査中で、今後公表すべき事項が出れば知らせるとしている[1]
ATIV Medicalとリログループの間に、これまで資本・人・取引の関係はなかった[1]。
2年で売上高が2.7倍に
発表資料に載ったATIV Medicalの連結業績を見ると、規模はまだ小さいものの伸びは速い[1]。
- 2024年3月期:売上高412万シンガポールドル、営業利益30万シンガポールドル
- 2025年3月期:売上高800万シンガポールドル、営業利益99万シンガポールドル
- 2026年3月期:売上高1097万シンガポールドル、営業利益146万シンガポールドル
売上高は2年で約2.7倍になり、営業利益率は直近で13%程度ある。純資産は394万シンガポールドルで、取得額は純資産を大きく上回る。リログループが払うのは、今の資産よりも、駐在員という顧客層を押さえた事業の伸びしろへの対価といえる。
「赴任前から現地生活まで」をつなぐ狙い
リログループは、日本企業の世界展開を支えることを使命に掲げ、海外赴任支援事業を手がけている[1]。発表資料は、赴任先で医療機関を選ぶことに不安を抱える赴任者がいる点を、今回の買収の理由に挙げている[1]。
子会社化の後は、赴任が決まった段階からATIV Medicalの医療サービスを案内し、「赴任前から現地生活まで」を一続きで支える仕組みをつくるとしている[1]。リログループの赴任支援を入り口にして、ATIV Medicalへ利用者を送り込む効果を見込んでいる[1]。
医療を抱えることの重み
赴任支援は、住まい探しや引っ越し、ビザの手配のように、赴任の前後に集中する仕事が多い。医療は駐在期間を通じて使われるサービスで、家族の通院も含めれば利用の機会は続く。企業にとっても、社員と家族の健康管理は海外拠点を運営するうえで外せない費用であり、赴任の手配と医療をまとめて任せられる相手は選びやすい。
一方で、医療は現地の制度や医師の確保に左右される事業で、住まいの手配などとは管理の仕方が違う。リログループは業績への影響を精査中としており、10月30日の株式譲渡の後、子会社として業績をどう示していくかが最初の確かめどころになる。
脚注
- リログループ「ATIV Medical Pte. Ltd.の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」(2026年10月20日) https://www.relo.jp/ir/news/docs/web261020_J.pdf

