プルデンシャルとジブラルタ、13日から業務停止

金融庁は2026年10月9日、営業社員による金銭不祥事が相次いだプルデンシャル生命保険とジブラルタ生命保険に対し、保険業法に基づく業務停止命令と業務改善命令を出した[1]。業務停止の期間は10月13日から2027年1月31日までで、プルデンシャルとジブラルタの両社は、金融庁が個別に認めたものを除き、保険募集と契約の締結を止める[1]。両社を傘下に持つプルデンシャル・ホールディング・オブ・ジャパンにも業務改善命令が出た[1]。

プルデンシャル生命などへの業務停止命令、処分の内容

金融庁が出した処分は次のとおりだ[1]。

  • プルデンシャル生命・ジブラルタ生命:10月13日〜2027年1月31日の業務停止(保険募集・契約締結)と業務改善命令
  • プルデンシャル・ホールディング・オブ・ジャパン:業務改善命令
  • 3社とも:改善計画を11月30日までに提出し、3カ月ごとに進み具合を報告

業務改善命令は、過去の取締役を含む経営責任の明確化、金銭不祥事の徹底調査と被害回復、報酬制度を含む営業管理の立て直し、ガバナンスの抜本的な強化などを求めた[1]。生保2社には、外部の専門家による改善計画のレビューも義務づけた[1]。

既存の契約者への影響は

3社が同日に出した発表によると、業務停止の対象は営業社員による新規の保険販売だ。すでに加入している契約の保障や保険金・給付金の支払い、契約内容の変更、解約などの手続き、問い合わせや被害の申し出には引き続き対応する[2]。ジブラルタ生命の代理店を通じた新規販売は、命令の対象外となる[2]。

プルデンシャル生命は11月5日まで新規販売を自主的に控えていたが、命令を受けて営業社員による販売活動の停止を2027年1月31日まで続ける[2]。停止期間が終わった後の営業再開は、顧客への補償や再発防止策の状況を確認したうえで慎重に判断するとしている[2]。

金融庁が指摘した「構造的な問題」

金融庁は処分の理由として、個々の社員の不正ではなく、販売の仕組みと経営の姿勢を問題にした[1]。

プルデンシャル生命は「ライフプランナー」と呼ぶ営業社員を唯一の販売チャネルとし、業績に完全に連動する報酬と自由度の高い勤務形態を強みとしてきた[1]。金融庁は、こうした仕組みの下で金銭に執着の強い人材が入り込み、金銭不祥事が繰り返されたと指摘した[1]。経営陣は問題を認識しながら報酬・表彰制度の見直しを先送りし、営業自粛の期間中にも管理職の承認なく顧客と接触する事案が起きていたという[1]。

ジブラルタ生命については、営業社員と顧客の関係が本部や管理職から見えない「密室化された関係」を容認してきたと指摘した[1]。プルデンシャル生命が2月に営業自粛を決めた後も、同様の事案が多数見つかっていたのに、緊急の措置を検討しなかったことも問題視した[1]。

被害の規模と補償の状況

プルデンシャル生命が10月8日に公表した資料によると、同社が1月16日に公表した事案では、金銭不祥事などの影響を受けた顧客は498人に上り、492人の補償審査が終わっている[3]。関与が判明した元社員・社員は146人で、53人を懲戒解雇・諭旨解雇とした[3]。同社は社外特別調査委員会の報告書を同じ日に公表し、問題は経営管理態勢やビジネスモデルに起因する構造的なものだと認めた[3]。

11月末の改善計画で報酬制度は変わるか

今回の処分は、生命保険会社の営業社員チャネルのあり方に一石を投じるものだ。完全歩合制の報酬は、優秀な営業担当者を集める力になる半面、新規契約を取ること自体が目的化しやすい。金融庁が報酬制度や管理職の評価制度まで踏み込んで改善を求めたのは、仕組みを変えなければ再発は防げないとの判断だろう。

業務停止は約3カ月半に及び、営業社員の収入や顧客の新規加入の機会にも影響する。11月末に出る改善計画が、報酬制度をどこまで変えるのか、そして過去の経営陣の責任をどう明確にするのかが、信頼回復の試金石になる。

脚注

  1. 金融庁「プルデンシャル生命保険株式会社、ジブラルタ生命保険株式会社及びプルデンシャル・ホールディング・オブ・ジャパン株式会社に対する行政処分について」(2026年10月9日) https://www.fsa.go.jp/news/r8/hoken/20261009/20261009.html
  2. プルデンシャル・ホールディング・オブ・ジャパンほか「金融庁による行政処分について」(2026年10月9日) https://www.gib-life.co.jp/st/about/is_pdf/20261009.pdf
  3. プルデンシャル生命保険「社外特別調査委員会による調査報告書の公表およびお客さま本位の業務運営の徹底に向けた取り組みについて」(2026年10月8日) https://www.prudential.co.jp/assets_item/25/20261008_3.pdf
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