日銀、金利1.25%据え置き ETF売却を年8600億円に

日本銀行(日銀)は2026年10月30日の金融政策決定会合で、政策金利(無担保コール翌日物)を1.25%程度で据え置きとすることを賛成8、反対1で決めた[1]。あわせて、保有する上場投資信託(ETF)の売却ペースを年間3300億円程度から8600億円程度(簿価ベース)に引き上げることを全員一致で決めた[1]。同日公表した「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」では、2027年度の物価見通しを引き上げた[2]。

日銀は金利据え置き、ETF売却は拡大

今回の会合の主な決定は次のとおり[1]。

  • 政策金利:1.25%程度で据え置き(賛成8、反対1)
  • ETFの売却ペース:年間3300億円程度から8600億円程度(簿価)へ。2027年1月から実施
  • J-REITの売却ペース:年間50億円程度(簿価)で変えない

反対したのは高田創審議委員だ。高田委員は、基調的な物価が2%の目標に達したとして、中立的な金利水準に近づけるペースを速める局面に入ったと主張し、政策金利を1.5%程度にする議案を出したが、反対多数で否決された[1]。

日銀は6月に1.0%、9月に1.25%へと政策金利を引き上げてきた[3]。9月の決定は賛成7、反対2で、このときは利上げに反対する委員がいた。今回は逆に、追加の利上げを求める委員が出た形になる。

ETF売却、市場に占める割合を0.05%から0.1%へ

日銀は2025年9月の会合で、保有ETFを年3300億円程度のペースで売ると決め、2026年1月から売却を始めていた[1]。当時の目安は、市場全体の売買代金に占める売却の割合で0.05%程度だった。

今回、売却が市場に大きな影響を与えずに進んでいることと、株式市場の売買代金が膨らんでいることを踏まえ、この割合を0.1%程度に引き上げる[1]。新しいペースは簿価で年8600億円程度で、1〜9月の時価と簿価の比率を使って換算すると、時価では年2兆4600億円程度になる[1]。従来の約2.6倍のペースだ。市場の状況に応じて、売却額を一時的に調整したり止めたりできる仕組みは残す。

展望レポート、2027年度の物価見通しを2.6%に

政策委員の見通しの中央値は、前回7月から次のように変わった[2]。

  • 生鮮食品を除く消費者物価:2026年度2.5%(前回2.5%)、2027年度2.6%(同2.4%)、2028年度2.0%(同2.0%)
  • 実質GDP成長率:2026年度0.7%(同0.6%)、2027年度0.7%(同0.8%)、2028年度0.8%(同0.8%)

2027年度の物価を引き上げた理由として、日銀は夏場以降の原油価格の上昇を挙げた[2]。見通しの前提とする原油価格(ドバイ)は1バレル105ドル程度から出発し、見通し期間の終盤に70ドル程度まで下がると想定している。物価の上昇率は2%を「はっきりと上回る水準」まで高まった後、見通し期間の後半に2%程度へ向かうという筋書きだ。

リスクの見方では、物価は上振れリスクの方が大きいとし、基調的な物価上昇率が2%を超えて上振れるリスクに「十分に留意する必要がある」と書いた[2]。以前は物価の下振れに注意を払う必要があったが、足元では局面が変わったと明記している。そのうえで、経済・物価・金融情勢に応じて引き続き政策金利を引き上げていく方針を示した。

消費税引き下げは見通しに入れず

国会では飲食料品の消費税率を臨時に下げる法案の審議が続いているが、日銀はこの減税を今回の数字に反映させなかった[2]。日銀は、9月に閣議決定された税制改正大綱どおりに税率が下がり、対象品目すべての価格にそのまま反映された場合、2027年度の生鮮食品を除く消費者物価の上昇率を1.3ポイント程度押し下げると機械的に試算した。

減税が実施されれば、統計上の物価上昇率は2027年度に1%台前半まで下がる計算になる。ただし、これは税率変更による見かけの低下で、日銀が重視する賃金と物価の循環や予想物価上昇率とは別の話だ。日銀が「基調的な物価」と表面の数字をどう区別して説明するかが、来年度の政策判断を読み解くうえで大事になる。

据え置きでも、次の利上げをうかがう構図

9月に利上げしたばかりで、今回は効果を見極める会合になった。ただ、展望レポートは物価の上振れリスクを前面に出し、利上げを主張する反対票も出た。ETF売却の加速も、大規模緩和の後始末を一段進める判断といえる。

一方で、成長率の見通しは0%台後半にとどまり、個人消費は「横ばい圏内」とされた[2]。原油高が家計の実質所得を押し下げるなかで利上げを急げば、景気の下押しになりうる。次回会合までに出る10〜11月の物価や、来年の春闘に向けた賃上げの動きが、利上げの時期を左右しそうだ。前回会合前の論点は日銀会合の事前の記事でまとめている。

脚注

  1. 日本銀行「当面の金融政策運営について」(2026年10月30日) https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2026/k261030a.pdf
  2. 日本銀行「経済・物価情勢の展望(2026年10月)基本的見解」(2026年10月30日) https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2610a.pdf
  3. 日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(2026年9月18日) https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2026/k260918a.pdf
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