9月の鉱工業生産2.2%上昇 自動車が回復、10月も増産予測

経済産業省が2026年10月30日に発表した9月の鉱工業生産指数(速報、2020年=100、季節調整済み)は104.1となり、前月比2.2%上昇した[1]。9月の鉱工業生産が上がったのは3か月ぶりで、自動車や半導体製造装置などが伸びた。経産省は生産の基調判断を「一進一退で推移している」に据え置いた[1]。

9月の鉱工業生産、主な数字

速報の主な指標は次のとおり[1]。

  • 生産:104.1(前月比2.2%上昇、前年同月比1.9%上昇)
  • 出荷:101.0(前月比0.6%上昇)
  • 在庫:99.9(前月比2.5%上昇)
  • 在庫率:108.4(前月比2.0%上昇)

8月は前月比2.4%の低下だった[1]。9月の上昇で、8月の落ち込みをほぼ取り戻した形だ。7〜9月期でみると前期比0.3%の上昇にとどまり、4〜6月期の0.2%上昇に続いて小さな伸びが続いている。

自動車と生産用機械がけん引

業種別では、自動車工業、生産用機械工業、汎用・業務用機械工業などが上昇した[1]。自動車は普通乗用車や駆動・操縦装置の部品、軽乗用車が増えた。生産用機械では半導体製造装置や化学機械、機械プレスが伸びた。汎用・業務用機械はコンベヤや運搬用クレーンなどが寄与した。

低下したのは、鉄鋼・非鉄金属工業、窯業・土石製品工業、化学工業(無機・有機化学と医薬品を除く)などだった[1]。

半導体製造装置の伸びは、世界的なAI関連の投資と重なる。10月30日に中間決算を発表した東京エレクトロンも、売上高が前年同期比41.3%増と大きく伸びた[2]。工場の生産統計と企業の決算の両方で、半導体関連の需要の強さが確かめられる。

在庫が増え、在庫率は上昇

9月は出荷の伸び(0.6%)が生産の伸び(2.2%)を下回り、在庫が2.5%増えた[1]。在庫は前年同月比でも0.1%上昇と、20か月ぶりに前年を上回った。業種別では鉄鋼・非鉄金属、自動車、生産用機械などで在庫が積み上がった。

作った製品が売れずに残る状態が続けば、企業は先々の生産を抑えにかかる。一方、10月以降の出荷に備えて在庫を積んだ面もありうるため、在庫の増加だけで景気の悪化とは言い切れない。翌月以降に出荷が伸びて在庫が減るかどうかで評価が分かれる。

10月は5.1%上昇の予測、ただし予測は振れやすい

製造業の企業に先行きの生産計画を聞く「製造工業生産予測調査」では、10月が前月比5.1%上昇、11月が0.8%上昇と、2か月続けて増える見通しが示された[1]。10月は電子部品・デバイス、生産用機械、電気・情報通信機械などが、11月は輸送機械、汎用・業務用機械、鉄鋼・非鉄金属などが押し上げる計画だ。

ただ、この調査は企業の計画をもとにしており、実績は計画を下回ることが多い。5%を超える増産計画がそのまま実現するとは限らない。経産省が基調判断を引き上げなかったのも、月ごとの上下が大きい状態が続いているためだろう。

年末に向け、増産計画が実績になるか

日本銀行は10月30日公表の展望レポートで、輸出はAI関連需要の増加を背景に緩やかに増えている一方、中東情勢による原油高が企業収益の重荷になっていると分析した[3]。鉱工業生産の動きも、半導体関連が伸びる一方で素材や化学が弱いという、同じ構図を映している。

次に出る10月分の速報で、5.1%上昇の計画にどこまで近づくかが焦点だ。計画どおり大きく伸びれば、「一進一退」から判断が上向く可能性がある。反対に計画を大きく下回れば、在庫の積み上がりと合わせて生産の調整が意識されやすくなる。

脚注

  1. 経済産業省「2026年9月の鉱工業(生産・出荷・在庫)指数の動向(速報)」(2026年10月30日) https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2020_202609sj.pdf
  2. 東京エレクトロン「2027年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年10月30日) https://www.tel.co.jp/ir/irta3a00000006g5-att/fy27q2tanshin-j.pdf
  3. 日本銀行「経済・物価情勢の展望(2026年10月)基本的見解」(2026年10月30日) https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2610a.pdf
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