
総務省は2026年10月19日、2025年度の民放(民間放送事業者)の収支状況を公表した[1]。コミュニティ放送を除く地上波のテレビ・ラジオ194社は、売上高が前年度比1.1%増の2兆2079億円、営業利益が11.4%増の994億円となった[1][2]。一方で、衛星放送とケーブルテレビは営業収益・営業利益とも前年度を下回った[1]。
民放収支、事業者の種類別の主な数字
2025年度の主な数字は次のとおり(カッコ内は前年度比)[1][2]。
| 区分 | 社数 | 売上高・営業収益 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| 地上波(コミュニティ放送を除く) | 194社 | 2兆2079億円(1.1%増) | 994億円(11.4%増) |
| うちテレビ単営社 | 96社 | 1兆9124億円(1.2%増) | 906億円(7.9%増) |
| うちラジオ・テレビ兼営社 | 31社 | 1914億円(0.9%増) | 74億円(38.1%増) |
| うちラジオ単営社 | 67社 | 1042億円(0.3%増) | 14億円(前年度は赤字) |
| コミュニティ放送 | 315社 | 148億円(2.8%増) | 3.5億円の赤字 |
| 衛星放送事業 | 38社 | 3151億円(1.6%減) | 204億円(8.7%減) |
| ケーブルテレビ事業 | 275社 | 4878億円(0.7%減) | 388億円(4.0%減) |
地上波194社の経常利益は1346億円(6.4%増)、純利益は1240億円(40.8%増)だった[2]。194社のうち黒字は151社で、前年度の147社から4社増え、赤字は47社から43社に減った[2]。決算期が来ていない事業者は、直近の決算を使って集計している[1]。
地上波は売上1%増で営業益11%増
地上波は、売上高の伸びが1.1%にとどまる一方、営業利益は11.4%伸びた[2]。費用の合計が0.7%増の2兆1085億円に抑えられ、売上の伸びが費用の伸びを上回ったことが利益を押し上げた[2]。とくにラジオ単営社は前年度の営業赤字から黒字に転じ、FM単営社の営業利益は前年度の約8.5倍の7.6億円になった[2]。
ただ、AM単営社は16社の売上高が1.3%減っており、ラジオの中でも差が出ている[2]。コミュニティ放送は売上高が2.8%増えたものの営業損益は赤字で、集計できた315社のうち純損益が赤字の社は135社あった[1][2]。
衛星放送とケーブルテレビは減収減益
衛星放送事業の営業収益は1.6%減の3151億円、営業利益は8.7%減の204億円だった[2]。ケーブルテレビ事業は営業収益が0.7%減の4878億円、営業利益が4.0%減の388億円で、集計した275社のうち39社(14.2%)が単年度で赤字だった[2]。総務省は今回から、IPマルチキャスト方式の事業者などもケーブルテレビの集計に加えている[2]。
衛星放送とケーブルテレビは、いずれも視聴者が月額料金を払う有料サービスが中心だ。広告収入が主体の地上波とは、収入の仕組みが異なる。
有料放送の減収が続くかが分かれ目
地上波の増益は、売上が大きく伸びたというより、費用を抑えた結果という面が強い。売上高の伸びが1%台にとどまるなかで、費用の抑制だけで利益を伸ばし続けるには限りがある。
一方、月額料金で稼ぐ衛星放送とケーブルテレビは、そろって減収減益となった。動画配信サービスなど有料の映像サービスの選択肢が広がるなかで、契約者をどう保つかが課題になる。総務省の集計は年1回で、2026年度の数字は来年秋に公表される見通しだ。有料放送の減収が続くのか、地上波の増益が続くのかで、放送業界の再編や設備投資の議論の前提も変わってくるだろう。
脚注
- 総務省「令和7年度民間放送事業者の収支状況」(2026年10月19日) https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu09_02000397.html
- 総務省「令和7年度民間放送事業者の収支状況(別紙)」 https://www.soumu.go.jp/main_content/001095704.pdf

