
日本、ドイツ、インド、ブラジルの4カ国(G4)は現地時間9月22日、国連総会に合わせてニューヨークで外相会合を開き、安保理改革の早期実施を求める共同声明を出した[1]。声明は、常任理事国と非常任理事国の双方の議席拡大を改革の中心に据えた[2]。
45分の外相会合、共同声明で安保理改革を要求
外務省によると、会合は日本時間の23日午前6時15分(現地時間22日午後5時15分)に始まり、45分ほど続いた。出席したのは茂木敏充外相、インドのジャイシャンカル外相(議長)、ブラジルのヴィエイラ外相、ドイツのヴァーデフール外相の4人だ[1]。
共同声明は、現在の安保理が国際の平和と安全を維持する責任を十分に果たせていないとし、その背景に80年前の制度設計が時代に合わなくなっていることを挙げた。アフリカ、アジア太平洋、中南米・カリブ地域などの代表性を高めることも求めた[2]。
「統合モデル」づくりで交渉を動かす
声明が優先課題に掲げたのが、各国・グループの改革案を一つにまとめる「統合モデル」の早期作成と、具体的な文言に基づく交渉の開始だ。国連総会の枠組みで行われている政府間交渉(IGN)は、18年にわたって具体的な成果を十分に生み出せていないとの問題意識がある[2]。
外務省によると、茂木氏は会合で、前会期(第80会期)のIGNで過半数を超える加盟国が常任・非常任の双方拡大への支持を表明したと強調し、それが統合モデルに反映されることが重要だと訴えた。G4の外相は、前会期にアフリカ諸国の改革案(アフリカ・モデル)が提出されたことを歓迎し、多数派の声を反映した統合モデルの早期作成に向けて緊密に協力することで一致した。現在の常任理事国やアフリカ諸国と連携し、今会期での具体的成果を目指すことも確認した[1]。
安保理改革を阻む「二重の壁」
安保理は、拒否権を持つ米英仏中ロの5常任理事国と、任期2年の10非常任理事国で構成される。常任理事国を5カ国とする枠組みは、1945年の国連発足時から変わっていない。
改革が進まない理由は大きく二つある。一つは国連憲章の改正手続きだ。議席を増やすには憲章を改正する必要があり、加盟国の3分の2の賛成に加え、5常任理事国すべてを含む3分の2の国の批准が要る。既得権を持つ常任理事国のどこか1カ国でも反対すれば実現しない。
もう一つは、改革を求める側の足並みの乱れだ。常任理事国の拡大そのものに反対し、非常任議席の拡大にとどめるべきだと主張する国々もある。G4がそれぞれ地域のライバル国を抱えていることも、合意づくりを難しくしてきた。
今回の声明が、各国案の違いを並べるだけの段階から、一つの文書をたたき台に交渉する段階へ進むことを強く求めたのは、こうした膠着を破るためだろう。アフリカ・モデルの提出を歓迎し、アフリカ諸国との連携を前面に出したのも、多数派を形成する狙いがあるとみられる。
日本の働きかけは続くが
日本政府は国連総会の場で改革への働きかけを強めている。外務省によると、高市早苗首相も同じ日にグテーレス国連事務総長と会談し、安保理改革について、常任・非常任理事国の双方の拡大を含む改革が不可欠だと伝えた[3]。任期最後の総会演説に臨んだグテーレス氏の発言については、グテーレス氏、任期最後の国連総会演説で伝えている。
ロシアのウクライナ侵攻や中東の紛争で、安保理は常任理事国の拒否権によってたびたび機能不全に陥ってきた。改革の必要性を唱える声は多いが、「必要だ」という総論から、誰がどの議席を得るのかという各論に踏み込んだ瞬間に合意が遠のく。その繰り返しを断ち切れるかどうかは、統合モデルという具体的な文書が今会期中に形になるかにかかっている。
脚注
- 外務省「安保理改革に関するG4外相会合」(2026年9月22日) https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/unp/pageit_000001_03220.html
- ドイツ連邦外務省「G4 Joint Ministerial Statement on the Reform of the UN Security Council」(2026年9月22日、共同声明全文、英語) https://www.auswaertiges-amt.de/en/newsroom/news/2803658-2803658
- 外務省「高市内閣総理大臣とグテーレス国連事務総長との会談」(2026年9月22日) https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/un/pageit_000001_03216.html

