室蘭3病院の再編を国が重点支援 西胆振を選定

厚生労働省は2026年10月22日、北海道の西胆振(にしいぶり)構想区域を、地域医療構想の実現に向けた「重点支援区域」に選定したと発表した[1]。室蘭市の市立室蘭総合病院、製鉄記念室蘭病院、日鋼記念病院の3病院による機能再編が対象で、国がデータ分析などの技術的支援と財政的支援を行う[1]。

3病院の再編では、市立室蘭総合病院の高度急性期・急性期機能を2028年4月に製鉄記念室蘭病院へ統合する計画が決まっている[3]。今回の選定で、重点支援区域は14道府県の28区域となった[2]。

重点支援区域とは、室蘭で選ばれた理由

重点支援区域は、複数の医療機関が機能の再編を検討している地域を、都道府県の申請を受けて国が選ぶ仕組みだ[2]。都道府県は、地域の関係者でつくる地域医療構想調整会議で申請への合意を得たうえで申請する[2]。

選ばれた区域には、国が次のような支援を行う[1][2]。

  • 技術的支援:地域の医療提供体制や再編を検討する医療機関のデータ分析、関係者の意見調整の場の開催など
  • 財政的支援:地域医療介護総合確保基金の優先配分、病床機能の再編支援の上乗せ

厚労省は、申請や選定そのものが再編の方向性を決めるものではなく、結論はあくまで調整会議での自主的な議論によるとしている[2]。今回の西胆振は、2026年に選ばれた3区域目にあたる。同年は京都府の中丹区域、岡山県の高梁・新見区域も選ばれている[2]。

市立病院の急性期を統合、2031年に新病院

製鉄記念室蘭病院によると、室蘭市内の3病院は2026年2月に再編の最終方針で合意し、同病院と室蘭市は7月23日、機能統合に関する基本協定を結んだ[3]。主な計画は次のとおり[3]。

  • 2028年4月:市立室蘭総合病院の高度急性期・急性期機能などを製鉄記念室蘭病院へ統合
  • 統合後:市立病院の建物を活用する部分は、計200床・職員300人程度を想定して調整中
  • 2028年10月に新病院を着工し、2031年に開院する予定。規模は400床程度、職員1100人程度が基本

統合によって、西胆振地域の高度急性期・急性期医療と救命救急の拠点をつくることを目指している[3]。

人口減少地域で相次ぐ病院の集約

重点支援区域の一覧を見ると、北海道の南空知や南檜山、熊本県の天草、山口県の萩など、人口減少が進む地方の区域が多い[2]。一方で、宮城県の仙台区域、広島県の広島区域、兵庫県の神戸区域といった都市部も選ばれている[2]。医師や看護師の確保が難しくなるなか、同じ地域で急性期の病院が並び立つ状態を見直す動きは、地方に限らず広がっている。

室蘭市を含む西胆振は、かつて製鉄業で栄えた地域で、3つの総合病院が近い範囲に集まっていた。急性期を1か所に集めれば、手術や救急に必要な医師や設備を集中させやすくなる一方、通院の距離が延びる住民も出る。回復期や在宅医療をどの病院が担うかという役割分担が、再編後の医療の質を左右する。

室蘭の病院再編、統合までの1年半で住民への説明を

2028年4月の統合までは約1年半しかない。国の支援で基金の配分が手厚くなれば、建物の改修や機器の更新の費用負担は軽くなるが、医療スタッフの移籍や診療科の移転は、病院同士の調整に委ねられる。

急性期の病院が一つにまとまる地域では、救急搬送の時間や、慢性疾患の患者がどこに通えばよいかといった住民の不安が出やすい。国の重点支援を受けた室蘭の再編が、計画どおりの時期に、住民の理解を得ながら進められるかどうかは、同じ課題を抱える他の地域の参考にもなるだろう。

脚注

  1. 厚生労働省「地域医療構想の実現に向けた重点支援区域の選定を行いました」(2026年10月22日) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76650.html
  2. 厚生労働省「重点支援区域について」 https://www.mhlw.go.jp/content/10802000/001749351.pdf
  3. 製鉄記念室蘭病院「『市立室蘭総合病院との機能統合に関する基本協定』を室蘭市と締結~室蘭市内三病院の最終合意の実現に向けて~」(2026年8月31日) https://www.nshp-muroran.or.jp/1-960/
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