スタバ、10月9日から定番商品を値上げ ドリンク4〜35円、フードは10〜30円

スターバックス コーヒー ジャパンは9月18日、10月9日から定番のドリンクやフード、コーヒー豆の価格を改定すると発表した。値上げ幅は定番ビバレッジが4〜35円、一部の定番フードが10〜30円で、取り扱いのある全店舗が対象となる[1]。日本初出店から30周年を迎えた年の改定である。

コーヒー豆と「One More Coffee」も対象

対象は定番ビバレッジ、一部の定番フード、定番コーヒー豆に加え、ブリュード コーヒー(カフェミストを含む)の2杯目を特別価格で提供する「One More Coffee」も含まれる[1]。

一方で、商品ごとの改定後の価格や、定番コーヒー豆と「One More Coffee」の具体的な値上げ幅は明らかにされていない[2]。値上げ幅の下限が4円という細かさを踏まえれば、定番のほぼ全域に、品目ごとに異なる刻みで改定が及ぶことになる。同社は理由として「原材料価格や物流、エネルギー等のコストの上昇」を挙げ、高品質な商品を安定的に供給し続けるための判断だと説明している[1]。

コーヒーの原価は構造的に上がっている

今回の改定を、単発のコスト転嫁と見るのは正確ではないだろう。コーヒー豆の国際価格は近年、産地の天候不順や生産コストの上昇を背景に高い水準で推移してきた。そこに円安と物流費、電力料金の上昇が重なる。輸入豆を主原料とし、全国に店舗網を持つチェーンにとっては、原価と店舗運営費の双方が同時に押し上げられる局面が続いている。

加えて、今回の発表は9月18日である。同じ日に総務省が公表した8月の消費者物価指数では、生鮮食品を除く総合が前年同月比1.7%の上昇だった[3]。指数全体の伸びは政府のエネルギー関連の対策などで抑えられている一方、食料や外食に関わる企業のコストは別の論理で動いている。物価指標の鈍化と、個別企業の値上げが同時に進むことは矛盾しない。

「4円」という刻み方が示すもの

注目したいのは、一律の引き上げではなく、商品ごとに刻みを変えている点である。売れ筋の飲料は小幅にとどめ、原価上昇の大きい品目に厚く配分したと読むのが自然だ。価格に敏感な客層の離脱をできるだけ抑えながら、必要な原価回収を確保する設計といえる。

ただ、細かく分散させた値上げは、消費者にとって全体像が見えにくいという副作用も伴う。カスタマイズを重ねれば、体感の負担はメニュー表の数字以上に増える。既に「1杯500円超」が当たり前になったカフェ市場で、どこまで値上げが受け入れられるのかは、10月以降の客数の動きを見るしかない。

外食の値上げは秋に集中する

10月は、価格が動きやすい月である。今年は10月1日に酒税の税率改正が最終段階に入り、ビール系飲料の税率が一本化される[4]。飲料メーカーは商品の規格変更や価格改定を相次いで発表しており、外食・小売の価格表は秋に書き換わる。スターバックスの改定が10月9日に置かれたことも、こうした流れと無関係ではないだろう。

消費者から見れば、同じ時期に複数の値上げが重なることになる。1件ごとの金額は数十円でも、日常的に使う店で積み上がれば負担は軽くない。政府が飲食料品の消費税率の引き下げを掲げ、臨時国会に法案を出す方針を示す一方で[5]、外食やカフェの価格は減税の対象外である。減税の恩恵が届く範囲と、値上げが進む範囲がずれている点は、物価高対策を評価するうえで見落とせない論点だと考える。

スターバックスは日本進出30周年にあたり、顧客と地域への感謝を掲げている[1]。ブランドへの支持が強い企業ほど、価格の引き上げは通しやすい。裏を返せば、その支持がどこまで価格の上昇を吸収できるかを測る試金石にもなる。同業他社の追随があるかどうかも、あわせて見ておきたい。

脚注

  1. スターバックス コーヒー ジャパン「2026年10月の価格改定に関して」(2026年9月18日) https://stories.starbucks.co.jp/press/2026/pr-2026-0918/
  2. Impress Watch「スタバ、10月9日から定番商品を最大35円値上げ」(商品ごとの改定後価格は公表されていないとの記述を含む) https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/2142316.html
  3. 総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数 全国 2026年(令和8年)8月分」(2026年9月18日) https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html
  4. 財務省「酒税に関する資料」 https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/d08.htm
  5. 首相官邸「『飲食料品に係る消費税率の引下げ』及び『給付付き税額控除』についての会見」(2026年7月30日) https://www.kantei.go.jp/jp/105/statement/2026/0730kaiken.html
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